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食べること ばかり

  タイという国は恵まれた国だとつくずく思うことがある。よく働く人も働かぬ人も食べることには事欠かない。
 食べるに困らないので、少々のことでは餓死することはないし、年中が日本の夏以上の気温だから、気取らなければ衣類などはどうでもよい。 

 湿潤な気候と気温が高いせいもあって、作物の種類は多く、主食となる米などは年に2回も収穫できて、さらには完熟した果物も種類が多く、その味はたまらなく美味しい。日本で食べるバナナなどは収穫して船に積み込まれるまで、緑豊かな房のままで芳醇な甘さなど望むべくもない。

 タイではバナナは皮をむいて生で食べるのではなく、皮をむいて叩いて焼いて、タレを着けて食べたり、フライにして食べるものなのだ。

 日本のように海と接しているので海産物も多い。 ただ海水温が高いので、種類は多いのだが色鮮やかな魚たちを見ると、熱帯魚のようであまり食欲はわかない。そこで私などは慣れ親しんだアジ、サバ、サワラなどの背の青い魚に食指が動く。

 日本では天然記念物に指定されているカブトガニなぞも、食用とされている。あの尻尾が長く、甲羅の堅いグロテスクな姿のまま、ボイルして大きな皿にのって食卓に出てくる。

 初めて食べたとき、どこもかしこも堅くて歯が立たないので困っていたら、それを見ていたタイ人の子どもに笑われた。

 そんな恥ずかしい思いをしたことがあったが、カブトガニは腹の外についている卵だけを食べるのだそうだ。 雄のカブトガニには卵がない。これは役に立たないから全部捨てる。何かやるせないものである。  獲った時に裏を返して雄と分かれば逃がしてやればいいものを、雌と一緒に食卓まで運ぶとはそりゃむごい。

 そしてタイ人は満ち足りた食物にありつけるから、顔は自然にほころんでくるのは当然のことだろう。
 町に住む人々には満足な台所なんか無い場合が多い。 晩ご飯も朝ご飯も買ってきて食べるのが普通なのだ。 

 作るのが面倒なこともあるのだろうが、家より遙かに美味しく作る専門家が、道路脇に屋台を出して並んでいるから、まったく心配は要らない。 おまけに毎日同じ料理を作るため、決められた材料しか必要はないため、家庭で作るより安く作ることができる。

 おばさん達の、天才的な腕によって作り出される食事は、 ご飯も、おかずも、スープも、デザートも熱々のまま、あるいは冷たいまま小さなビニール袋に入れられて輪ゴムでクルクルと巻かれ、家庭に、会社にと運ばれていく。

 手ぶらで学校へ行く前のお手伝いに、子ども達が友達と3~4軒の屋台を回って、食事を買い整える姿など、日本では考えられないタイの文化である。

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