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スペアキーを作る

 旅に使うスーツケースに施錠をしっかりとするのだが、ナンバーを忘れればハイそれまで。最近年のせいか,合い鍵が見あたらないことがままあって、 またやってしまった。とぼやきながら探すことが多くなった。

 スペアキーは常時2個用意しているが、ホテルや空港に荷物を預けたまま数日、地方へ旅立つことがある。バンコクへ帰ってスーツケースと対面し、キーはどこだと慌てるのだ。

 こうゆう場面を想定してスペアキーを作っているはずだが、スペアキーは施錠したトランクの中でお休みで、これではまったく役にたたず、いくら作っても油断できなない。

 見事な忘れぶりに、自分でも意識をするようになって、バンコクへ行くたびに1個づつスペアーを作るようになってしまった。

 スクムミット通りの、いつもの鍵の屋台にそっと近づくと、偏屈なオヤジが下げた眼鏡の上からジロッと見上げるが俺を無視をする。

 「スペアキー2本」と告げると、鍵を穴の開くほどにらんで頭の整理をしている。私はサムソナイトのキーに合う、鍵の元金が無いのを知っていて、意地悪く知らぬ振りをしている。

 十分困らせてから私が 「ホンダ」 とつぶやくと、偏屈オヤジはまた眼鏡の上からジロッと見上げて、ニッと笑うのである。

 日本でスーツケースの鍵や自転車の鍵のスペアーを頼んでも、まず断られるだろう。
ところがタイの偏屈オヤジは、意地でも作ってやろうと挑戦してくるのだ。 「ホンダ」と私がつぶやいたので、ホンダのバイクの元金が合うと気づくのだ。

 丁寧に時間をかけて作り上げた合い鍵を、いとおしそうに紙に包んで、そっと手渡すのである。

 次に渡した我が家の合い鍵などは、ものの5分もかからず出来上がる。 これは日本のメーカーの元金が大量に模造されているから、至極簡単にしかも丁寧に仕上げてしまう。

 タオライカップと料金を聞くと、ぼそぼそと小さな声でガウシップバーツ(260円)とつぶやくのである。 つまり家の鍵145円、スーツケースの鍵は115円である。

 この頑固オヤジのいる時をめがけて、オヤジとの駆け引きを楽しむために行くのだが、時々息子が屋台に出ていることがあって、これが真面目で堅物の好男子なので全く面白くない。

 これはハズレなので、知らぬ顔をして通り抜け、オヤジの出番を待つのである。
 オヤジの作った合い鍵はもう10本にもなろうか。持ち帰って不具合があったためしはない。しっかりした腕を持つ偏屈オヤジである。

 ずっと昔、その昔マスターキーを複製しようと思ったが、日本では全部断られたことがあった。それは鍵に小さなMの刻印が刻まれているからだが、これをバンコクで試してみたら………であった。


  

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バンコクのあれこれ」カテゴリの記事

コメント

「ホンダ?」なんだろ?と読み進めると、成程。凄いです。流石、タイ通。

投稿: mika kobayashi | 2010年6月11日 (金) 16時57分

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