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クメール遺跡ピマーイ

 コンケーンを過ぎると、見渡す限り砂糖きび畑が広がっていた。昨年鮫島由美子さんのリサイタルで聞いた沖縄の歌、「砂糖きび畑」のメロディーがふと浮かんでくる。今回は時間的に可能だから、ピマーイ遺跡に寄ってみよう。

よし、そうしよう。 そして気がついた。 おらん。 コラートが来たら教えて欲しいと依頼していたた、賢い方の車掌がいつの間にか姿が見えん。胸を張ってOKと云ったのは嘘か。眠気も覚めて、頼りなさそうなもう1人の車掌の所に行って、ピマーイに行くことにしたので、コラートに着いたら教えてくれと改めて依頼した。

 この依頼で車掌も運転手も混乱した。どうしてコラートまで行くのだ。ピマーイはコラートの40㎞手前なのにどうしてそんな遠くまでいくのだ。 いやいやそれは尤もなご意見なれど、私にも事情がありますんや。

 バスは広い国道を南へ疾走している。ピマーイは国道から東に10キロ余り離れているから、こんな人家もないところで下車してしまうと、ピマーイ行きのバスかソンテウ乗り換えねばならない。

 停留所のない国道で、ピマーイと表示して走ってくるバスが私に止められるわけがない。まともに書かれていても読めない表示が、ミミズが柔軟体操しているようなタイ文字だから恥ずかしながら絶望的なんだ。だからコラート始発でピマーイ行きのバスに乗ろうとしているのだ。

 そうこうしているうちに、バスはピマーイに向かう三叉路まで来て停車した。左の道がピマーイへ行く道だからここで降りろという運転手。分かっているが尻込みしているおじさん。救世主というのは、言葉だけやなく存在するものだ。 

 やりとりを最前列で聞いていたインテル風な女性が、私に分かるようにゆっくりと話しかけてくれた。左の道を指して「 カンサーイ、ピマーイ、サーティーミニッツ 」 、今度は国道の向かい側を指して「 ソンテウ、ピマーイ、ハーバーツ 」、これなら私にだって分かる。

 皆さま大変お騒がせをしました。乗務員を始めインテリのおばさん大変お世話になりました。と言葉では表せませんが、とても感謝しています。 この三叉路で下車できたおかげで時間が2時間30分ほどは節約できた。

 バンコクへ向かうバスを見送って、国道を左に渡ると2台のソンテウが止まっていた。ピマーイまで行きたいというと隣のソンテウに乗れという。

 先客の娘さん2人に私を加えて待つ間もなく出発した。ソンテウは新たな客を次々に拾いながら、30分でピマーイの町に到着した。街中のカーブを曲がると遺跡の入り口が見えたので、屋根の鉄パイプを棒で叩くと停車してくれた。料金はおばさんが言っていたように5B(15円)だった。ノンカーイを出発して8時間後のことであった。

   今日はまたタイ人に世話になった。タイ語なんて流暢に出来なくっても、困っている人をほっていくようなタイ人ではない。一人で歩いていても、必ず何とかしてくれる。愚直なまでに仏をあがめる仏教徒、善根を施し得を積もうとするタイ人はクールだ。        

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