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同胞ながら 嫌らしい女

 イサーンの赤い 大地は、塩分をたくさん含むので、農業には適さず不毛の地である。 したがって、現金収入を得るため、続々とバンコクを目指すことになる。出稼ぎの男性は建築現場かタクシーの運転手、女性はマッサージ師として働くのが定番らしい。

 当時私はパッポンやタニヤなどのある、シーロム、スリウォンなどの繁華街の近くのホテルを定宿にしていた。その近くにはタワナラマダ(現タワナバンコックホテル)やモンテインホテルなどがあった。

 そのモンテインホテルが、スリウォン通りに面して土産物の店を持ち。その3階でサイアムというマッサージ店を開いていた。料金はかなり高いが、非常に清潔な広い健康的な部屋が気に入って、バンコクに滞在したときに私はよく利用していた。

  いつも私を担当したのは、ノイ、トゥアン、ワンの3人で、気さくなイサーン出身のおばさんであった。3人とも日本語を少し話し、暇なときは私の所に集まって世間話をしながら(私は聞きながら)、3人からマッサージを受けるのが楽しみであった。

 バンコクではマッサージの料金が安いので、私にはまさに「天使の都」と云われる通りであるが、彼女たちは給料など無く、2時間働いて歩合が150B(450円)だった。そこで客からのチップが大いに生計を助けていた。

 いくら住みやすいと言っても、バンコクでの住居費や食費などはバカにならない。彼女たちは3人でアパートを一部屋借りて同居していた。 生活費を切りつめ、残ったお金はイサーンへ送金して、両親や子ども達の生活をまかなっているのだ。

 日本のように健康保険も退職金もなく、ただただ家族のために年中無休マッサージで、働いている健気な彼女たちだった。

 三月のある日、サイアムに出かけてみると、店内にいつもの笑い声は聞こえず雰囲気が暗い。聞いてみると、昨夜モンテインホテルに宿泊した、日本人の中年女性にマッサージをしたところ、痛かったとクレームをつけたらしい。早速ワンちゃんがオーナーに呼ばれて、即刻解雇を申し渡されたそうだ。

 彼女は多少の日本語が出来るので、痛ければ痛いと云えば、柔らかなマッサージをしてくれるのに、その時何も言わず、後でオーナーに面会してまでいいつけるとは、まことに持って嫌らしいおばはんだ。

 その一言で職を失ったワンちゃんと、ワンちゃんの稼ぎで生活している田舎の家族を思うと、全く可哀想であった。

 

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