ラヨーン

楽あれば苦ありと申しますが

 このマッサージ屋は40~50才代のおばさんばかりが、やってくれるのだが、そのマッサージたるや痛そうで痛くない。ツボを心得ているとみえて実に上手であった。
 目黒のサンマではないが、マッサージはラヨーンに限る。それもバンコクの半額なのだ。

 ところがである。驚いたのは店の扉を開けると、熱帯のスコールの親玉がこれでもか、とばかりに、空から水を落としていたのだ。

 30分ほどマッサージ屋で、お茶を飲みながら待ってみたが降り止む気配はなく、20メートルほど離れたホテルに帰れない。とりあえず広場に向かって走ってみた。なんと、あれだけ並んでいた屋台は、品物をすべて撤去し影も形もない。 「本日豪雨のため閉店」の状態である。

 かわいそう。あんなにたくさん作っていた屋台の食べものをどうするのだろう。玩具も衣料品も濡らさずに持ち帰っただろうか。
 もっと可哀想なのはオレだ。 人のことを心配している場合か。 当てにしていた夕食がない。

 見渡すと逃げ遅れたおばさんが、軒下にうずくまり荷物片づけていたので、そっと近寄ってみると焼き卵屋さんだった。串に焼いた卵を5個ずつ刺したやつ、他には何もないから、これにするか。

 その焼き卵を1串求めると、おばさんは、おまけだ、もう1串持って行けとやけ気味。10個も焼き卵を抱えてあと10m、ずぶ濡れになって走るタイスキおじさんは哀れであった。

朝、目覚めるとあの豪雨はどこかへ去っていた。ラヨーンの町は、あの独特の匂いをもつナンプラー(小魚を発酵させた醤油)と、果物の産地である。

 バスターミナルの北側に果物市場があると聞いて、出かけてみて恐れ入りました。雨季であるため種類は多く、果物の王様ドリアン、女王と呼ばれるマンゴスチン、そのほかランブータン、西瓜、パインアップル、バナナ、柑橘類、名も知らぬ果物多数が所狭しと2メートルほどの高さに、積み上げられていた。

 こんなに果物があると、食べたいという意欲は当然失せてしまう。大きなドリアンの山があったので、1個いくらですかと聞くだけ聞いてみると、威勢のいい兄さんは60円という。べらぼうに安いけれど、あの独特の匂いが強すぎるのでホテルには持ち込み禁止である。さいわい私は王様が嫌いなので買わない。
  
 女王様にしようと、マンゴスチンはいくらと小声できくと、大声で40円と叫ぶ。1個ではなく1㎏が、日本円に換算して40円なのである。 よし買った。
いくら美味しくとも、そんなに食べられるわけもなく、涙をのんで半分は廃棄せざるを得なかった。
 
 市場の横には少しでもキズのついた果物は、こんなに、と思うほど大量に捨てられていた。まだ十分食べられる。もったいない。と思う人がタイにもいて、いろんな種類の果物をたくさん持ち帰る様子を見て安心した。水が豊富で気温も高い、熱帯のタイでは、飢餓という言葉とは無縁である。

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タイ人が好きなリゾートへ

 タイのリゾートと言えば、南西部に位置するプーケット、ピーピー島、サムイ島などが世界的に有名で、観光客も多いことで知られている。 日本の客もかなり行くようだが、有名なだけに物価が異常に高い。

 そこで、多くのタイ人は東南部にあるラヨーンへ行きたいと答える。これは距離が比較的近いのと、外国人が少なく物価が安い、そこから船で渡るサメット島は島も水も綺麗で、浜はホワイトサンドビーチと名付けられる通り抜群に美しい。

 バンコクのエカマイ(東バスターミナル)から、ラヨーンまでバスを利用した。タイのバスは、VIPバス、エアコン1、エアコン2 と冷房のない普通バスが郊外へ向かって走っている。エカマイからラヨーンまで3時間30分、1等エアコンバスが4:00~22:00まで30分おきに発車している。料金もわずか250円だ。

 ところが冷房しているバスが曲者なんだなあ。 熱帯の国なので、高級バスにはサービスが欠かせない。

 何よりのサービスは冷房することであって、絶え間なく強い冷房をかけっぱなしで、冷凍寸前になって、客が冷房を切ってくれ! と悲鳴を上げても絶対に止めない。高い料金を取る以上サービスは続けるのだ、との信念を持っているから始末が悪い。

 懇願、嘆願する哀れな客には、不思議そうな顔で車掌が毛布を手渡してくれる。そのうえに、よく冷えたペプシコーラなど飲み物をサ−ビスするから、まさに拷問となる。
 そのせいか、VIPバスとエアコン1のはトイレがついている。 エアコン2 にはトイレがないので飲み物は、極力控えねばならない。
 
 私は過去にバスで数回、汽車の2等車で1回、非常にきつい冷房の被害にあった経験があるので、今回は危険防止のためセーター1枚を、防寒用にバックに入れてバスに乗車した。車中のタイ人の服装を見ると、おかしい。 みんな薄着なのだ。

 タイ人や外国の観光客の強い要望に答えたのか、適正な冷房温度を学習したのか、通常の室内温度で走り続けた。これがサービスじゃ。

 雨季である9月なのに、雨に会うことなく 3時間あまりでラヨーンのターミナルに到着した。さて、これからホテル探しである。

 ホテルは雨季なのでバスターミナルから至近なスターホテルを狙っていた。見上げるばかりのホテルは敷居も高い。フロントで空室はありますか。 と尋ねるとご予約はありますかだと、予約がしてないから空き部屋の有無を尋ねているんだがね?  歯車がかみ合いませんなあ。

 それから右を指さして、タイ語の早口で話しだした。 こうなると私には理解の限界を遙かに超えていて、勝手にしゃべれ である。それに輪をかけ、横の男性が英語で説明を始める。自慢じゃないが英語などよけいわからん。

 だまって口元を眺めていると、さすが客商売だ察しがよい。話すことをあきらめた女性が、ボーっとしていたボーイを呼び何かを指示した。私はボーイの後を、羊のごとくシオシオとついて行くはめになった。いいおっさんが情けないことだ。

 なんと右隣にもう一つ大きな建物があって、これもスターホテルだそうだ。めでたく空室はあり、オフシーズンでもあり、朝食付きなのに予想外に低価格なのだ。 ホテル前には広大な広場があって、夜の帳と共に屋台街に変身する。そこでは、タイ料理や果物、飲み物、お菓子などがずらーっと並んで食欲をそそるのだ。
 
 広場横の建物は理髪店が3軒、古式マッサージ店が5軒も軒を連ねていて、私には
申し分のない環境である。まずは健全な古式マッサージからスタートした。 2時間でみっちりと旅の疲れをほぐし、チップ込みで900円の料金を支払い、店を出ようとして驚いた。



   

 
 

 

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