サメット島

タイ人に人気のサメット島では

  公園管理事務所で入園料をふんだくられて、しばらくして徐行したソンテウの運転手が大声で何か言った後、車は方向を変えて走り始めた。
 タイ人はお人好しでそのうえ親切である。 家族連れで来ているおばさんが、パイナイカー(どこへ行くの)と私に声をかけてくれた。

 サイケーオビーチだよと答えると、すぐさま持っていた傘で運転席の屋根をガンガンとたたいてくれた。こうすれば車は止まるのである。 さきほど徐行して運転手が大声を出したところが私の降りる場所だったのだ。危ないとこだった。
 
 やっとの思いでサイケーオの海岸に出た。別名ホワイトサンドビーチと呼ばれる砂浜は、微細で真っ白な見たこともない砂で、よく見るとすべては貝殻の砕片であった。

 子供の頃、絵本に出てくる南洋の島々は、例外なく椰子の木の並木と白い海岸が続き、そして黒人が描かれていた。まったく昔の絵本作家はよく知っていたものだ。黒人は居なかったが、まったく同じ景色なんだなあ。 
 
 椰子の木陰で、ぼけーっと海を眺め、沖でエンジン付きの船に引かれたバナナボートが早く転覆することを祈りながらウトウトとまどろむ。

 声がかかり目覚めると、美味しそうに茹でた蟹を天秤棒で担いで売り歩くおばさんだった。その後も次から次へと、果物や飲み物を持った売り子がやってきて、美味しい美味しいと勧めるが、満腹でもう食べられん。
 
 その後、シート持参のマッサージ屋までやって来た。嫌いではないのでこれもやる。
と、数時間は感激したり楽しんだりしたものの、家族連れが歓声を上げて海辺をはしる。木陰では恋人達が静かに語り合っている。
 
 次第に空しさが募ってくるし面白くもない。止めた帰ろう。リゾート地なんかエエおっさんが一人で来るところと違うで。  

 しかし、若い人たちが何人かで訪れたら、素晴らしい島であるに違いない。 絵はがきで見るような綺麗な南の島がそこにはあるのだ。バンガローで一泊すれば間違いなく夜明けの海が、目の前に描かれていることだろう。

 バンコクからビーチへ行くには、サメット島よりパタヤビーチのほうが近い。ただパタヤビーチは、ベトナム戦争の時に駐留していたアメリカ軍の、保養地として発展した所なので、その名残が残っていて、歓楽地といったイメージが強いしバンコクが近いとゆうこともあって、水質に難があるように思う。

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雨が降らないので サメット島へ

 今日の雨は、まだお休みのようなので、サメット島へ行くことにした。サメット島へはバーンペーから出る船を利用しなければならないのだが。バーンペーの地名がおもしろい。バーンはタイ語で村だから 「ぺー村」である。変な名前だ。
 
 バスターミナルでパスがどこから出るか分からないので、新聞の立ち読みをしている警官に尋ねてみた。彼は新聞を置いて私を案内するために歩きだしたが、ちょうど前から二人ずれの別の警官がやってきて、直立不動で 「敬礼」 この警察官は偉いのだ。

 偉い上官殿が二人の警官にナントカカントカと命じると、やけに背の高い警官が案内してくれた。バス乗り場の裏のほうに停まっているソンテウが、バーンペー行きのバスだった。ターミナルの裏に隠れていて、行き先も書いてない乗り物なんか分る訳がない。もっとも書かれていても読めるわけもないが。

 驚いたのがソンテウの運転手、怖い警官が連れてきた客だ、慌てて満員の荷台ではなく、助手席に乗せてくれた。 驚かせてごめんね。 そしてソンテウは客を拾ったり、捨てたりしながら30分ほど走ってぺー村へついた。港町バーンペーからは、サメット島へ渡る船の客引きが盛んに呼び込みをしていた。
 
 島に渡る船の会社はいくつかあるようだが料金は皆同じだ。 それにしても漁船の魚くさい独特の、港の匂いがあたりに充満していて心地よい。

 桟橋には赤い船や青い船が客を待っている。日本のように画一的な白い船なんか、どこにも見あたらず、南国にふさわしい原色を多用した船達であった。

  船は桟橋を離れて、サメット島をめざして滑りはじめた。船室は木製の長椅子、二階の甲板は椅子なしだが見晴らしがよく気持ちがよさそう。

 私も甲板に登ってみると、タイの青年グループがギターを弾いて鼻歌気分だ。 少し離れて日本の若いカップルが、二人のために世界はあるの、とばかりに傍若無人にふざけあっている。日本のおじさんとしては、眉をひそめたくなるほどなのだ。

 船が防波堤を越えると海上は雨季の風が強く、かなりのうねりが船を揺らせてくれる。
島はすぐ近くに見えるのに、潮流も早く島のナダン港になかなか近づけない。乗船40分でやっと入港の目処がついて、島は次第に近づいてきた。

 ふと気がつけば あれほどはしゃぎ、ふざけていたわが同胞のカップルは、青い顔をして完全に酔っぱらっていた。 静かになったが誰も同情はしない。 これはいいことだ。
 
 ナダン港で下船すると港にはソンテウがいて、希望の海岸まで送ってくれる。 私は一番近いサイケーオビーチへ行く予定である。ソンテウには、行楽にきたタイ人の家族連れが10人ほど乗っていて、オレはただ1人の外国人だ。

 途中に公園管理事務所があって入園使用料を徴収していたが、 またこれだ。
タイ人の入園料が20バーツなのに、俺だけはなんで400バーツ(1,200円)払はなあかんのや。

 この国では、エメラルド寺院、ワットポーなどの入園料はもちろん、 バスと鉄道以外はほとんどと言っていいほど外国人とタイ人の料金に格段の差がある。

 始末の悪いことに外国人の金額はアラビア数字で、タイ人料金はタイ語で書いてあるから、外国人には金額がわからない。 

 日本語の分かる外国人が 「弐百圓」 と書いてあっても、この金額がいくらなのかを理解など出来るはずがないのと同じで、考えることが幼稚でセコいのだ。

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