メークローン

メークローンの町も限りなく魅力的

  カンチャナブリーのクェイ川から流れくだった水がその後、メークローン川と名前を変えて、はるばる、このタイ湾までやって来たのだ。
 ここからは国鉄南本線の通る町ラーチャブリーにもバスを利用すれば簡単に訪れることが出来るし、メークローン川に沿ってソンテウを使えばアムパワー水上マーケットも近い。

 一年中見ることの出来る蛍の群生地も有名で、外国人の観光客も多いと聞く。しかし一度は行ってみたいと思っていたのだが、いまその気は失せてしまった。

 それは2ヶ月ほど前に、何気なくテレビを見ていたら、若い女優がマハチャイやメークローンの旅をしている内容で、放映されていいた。
 市場に入っていくとんでもないディーゼル列車や鄙びた漁村などの紹介は、そうだそうだと見ていたのだが、その後がいけない。

 メークローン川の上流で泊まった宿がいけない。綺麗なホテルの部屋、豪華な宮廷料理、高価なマッサージなどなど、そんな光景を放映しながら調子に乗って、美味しいですね。素敵なお部屋ですね。 とは、この地の素朴さを愛でて旅する庶民の気持ちを逆なでするような内容だと受け取った。

 その豪華ホテルは、私達が日頃宿泊するホテル料金の5倍を上回る料金であった。
マハチャイやメークローンの旅をテレビで紹介するなら、それ相応のホテルで宿泊せなあかん。
どうせスポンサーが付いて、カメラが入った、のんきな若い女優の旅であっても、配慮に欠けた内容であったように思う。

 若い女優には何の罪もないが、綺麗な自然を土足で踏みにじられているような思いを抱いて、このブログを書くのに躊躇してしまった。 老いのせまった年金暮らしの、戯言と聞き逃して頂きたい。


  

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バーンレームからメークローンへ

 マハチャイからターチン川を渡って、対岸のバーンレームへ行こうと渡船を待った。渡船2隻が交互に行き来しているので、到着して待つ間もなく出発する。
到着する渡船が近づいてきた。なんと船が接舷する体制にはいると、バイクが十数台も前方を見据えて、血走った目で突撃準備をしていた。

 桟橋に着くやいなや、一斉に爆音をあげながら斜面の桟橋に突進して登っくる。何でそんなに急いでいるのか知らないが、はみ出して水中に落とそうになっているヤツもいるし、女性ドライバーも男性の中につ突っ込んでいく勇壮さ。 落ちろ落ちろと乞い希うが落ちないんだなあ。

 その後が自転車だ。これはおとなしい。 そして最後が我々徒歩のお客となる。 こんな楽しい渡船は約10分、料金8円で私達をバーンレームに運び上げてくれた。ここでもイカやエビ、小魚の干物のオンパレードであった。

 通りに出ると左側に薄黒い顔をした、人相のやや悪そうな輪タクが客待ちをしている。この輪タクは街をぐるっと回り、海の近くを走って元の所まで帰るだけ。 

 実は、ここからまだメークローンの街まで、もう一度列車に乗ろうと考えた。マハチャイメークローン線はターチン川で一端、線路が断ち切られ、川を渡るとその延長として別の列車が走るのだ。

 歩いて右へ5~6分、倉庫裏のような足場が悪い辺鄙な場所にディーゼル列車が止まっていた。
これが駅か? とても始発駅なんて云える代物ではない。1日に4往復の路線だから仕方ないか。

 バーンレーム10:30発、タイで一番の骨董列車に乗車してメークローンへむけ出発した。
田園風景、塩田、海老の養殖池、マングローブの林などが目を和ませてくれる。感受性が鈍化している私でも気持ちが優しくなってくる。

 時折見かけるブーゲンビリアの深紅の花が素晴らしい。でも窓から顔を出して眺めていると、日焼けと砂埃で真っ黒になるのでこれが辛い。

 サムットソンクラーン県のメークローンの町に近づいてみると、この街にも線路がない。
同じように列車の悲しそうな警笛に、やおら露店の群れは線路から待避していく。店の大きな日傘やテントも列車が通過するまで、人々が線路外に支え持っている。

 そして超低速の列車は11:10分に市場の中のメークローン終着駅に到着した。

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