チェンコン

メコン河よ どこへ行く

 メコンの流れは遙かチベットを発して、中国、ミャンマー、ラオス、タイを経てカンボジア、ベトナムと気の遠くなるような旅をして、南シナ海へたどり着く。

 ゴールデントライアングル(黄金の三角地帯)近くでタイと遭遇するこの大河が、チェンセンを通過し更に下流に至り、チェンコンと呼ばれる町付近でタイに別れを告げて、ラオス領深くに離れていく。

 この度メコン河が、しばらくタイに別れを告げる、チェンコンの町を訪ねてみた。チェンライのバスターミナルからは2通りのバスがあって、片道3時間30分と2時間の2系統である。このバスでうっかり3時間30分コースを選ぶと日帰りすることは覚束なくなる。

 だから乗車するときに何時間かかるかを、確かめてから乗らねばならない。田舎でも、そのまた僻地へ行くバスだから、ターミナルで最も古ぼけたバスを選べば間違いない。

 このバスは坐席が傾いていて乗り心地が悪い上に、道幅が狭くなり更にでこぼこ道だ。チェンコンに着いたのは2時間を45分も過ぎていた。こんな道をこんなバスでチェンライまで帰るのはまっぴらなので、計画を変更して帰路はチェンセン経由にすることにした。

 バスターミナルからメコン河へ向かう道がよく分からない。川は低いところを流れるから、坂を下っていけば当然メコン河に到達するはずだ。 ところがチェンコンの町は意地悪だ。 長い坂を下っていけば、また登りになっている。 悪戦苦闘の末メコン河の畔にやっと出ることができた。Photo 

当たり前だが、メコンはメコン、どこで見ても代わり映えはしない。しばらく歩くと川岸から斜面を利用して建てられたホテルがあり、賑やかな声が聞こえる。

 斜面の階段を下りてくる人も見受けられたので、当然登れるはずだ。

 登れば入口があるのはあたりまえ、ホテルでは、やはり立食パーティーをやっている。 ボーイにトイレを聞いてみると案内してくれた。

 案内されたのは大騒ぎのパーティー会場脇のトイレだった。トイレから出たところに長机が3脚ほど置かれ、ウエイトレスが飲み物を通る人達に手渡している。 エッ私にまで? そうですか。

 ナムコーンリバーサイドホテルを出て、時計を見ると2時30分、チェンライ行きの最終バスはあと1時間だ。 ここからチェンセンへは辺鄙なところなのでソンテウしか運行していない。ソンテウはどこだ。郵便局の近くにいたソンテウがチェンセン行きだそうだ。

 このソンテウには先客が3人ほど乗って発車を待っていた。運転手にチェンセンまで行くことを確かめて私も乗り込んだ。この間に運転手に悪い心が芽生えたらしい。30分待たせて、ヤツが私の所に来た。

 今日の客は近くの客ばかりなので、途中までしか行かない。そこから先はチャーターになるといいはじめた。 

 このソンテウがチェンセン行きの最終だから、無理にでも乗るに違いない。と足元を見のだ。その料金は800Bかかると本性を現わした。(800BあればバンコクまでVIPバスで帰れる金額) こうなると日本語しか分からない。

もうエエ、乗らん。と声は大きくなる。 ソンテウから降りると運転手は慌てて、500Bだ。こりゃあかんと、150Bまでさげたが、覆水盆に返らずカモは逃げたのである。近くで麺を食べていたトゥクトゥクの運転手をせかせて、バスターミナルまで駆けつけると、チェンライ行きの最終バスは後ろ姿を見せて遠ざかって行くではないか。 

 事態を悟ったターミナルのオバサンが、巨体をも顧みず自転車で徐行中のバスを追いかけ停車させてくれたのである。タイ人の優しさに今日も触れることができた。

それにしてもあの馬鹿運転手、私がチェンライへ行くとは思いもよらなかったろう。 旅にはこんな楽しみもあるのだ。 ざまぁみろ!

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