旅行保険

海外旅行保険を初めて体験した

 これまでの十数年間で保険料として80万円以上は、損害保険会社などに掛け金を提供してきたが、今回初めて払い戻しの体験をすることになった。

 いつものように一人でタイを訪れて、イサーン(東北タイ)の田舎を中心に5日間回ってバンコクへ戻った。その後4日間ほどバンコク近辺をめぐり、帰国する2日前の夕刻から喉が痛みだし、激しく咳き込むようになった。 機内でひどい咳などすれば、他の乗客に迷惑がかかるぞ。

 これは困った、薬局へ行って、タイによくある副作用無視の、よく効く薬を買わねばと思ったのだが、ここで考えた。

 私はこれまでに海外旅行傷害保険に入りながら、一度たりとも利用したことがない。 保険だから利用などしないにこしたことはないが、掛け金は旅行回数から考えても、かなりの額になっている。私のような優良被保険者に損保会社は大喜びをしていたに違いない。

 薬局はやめて、急遽スクムミット通りにある、東南アジア最大と言われる「バムルンラード病院」へ向かった。

 この病院は五つ星のホテルかとも見まがう、建物も内装もゴージャスなのである。タクシーで乗り付け正面玄関に到着すると、ドアマンがサッとドアを開けてくれる。院内へ入ると、1階と2階は吹き抜けになっていて、豪華絢爛なロビーが広がっていた。

 ロビーの奥まった所には、マクドナルドやスターバックスが陣取り、このフロアーを見て誰が、病院の中だと思うだろうか。

 吹き抜けの部分にあるエスカレーターで2階に上がると、右側はタイ料理、日本料理、更には中華料理のレストランが並んでいた。喫茶店も数店あって病院に来た人達の寛ぎのフロアーである。 当然病院に来た人ばかりでなく一般の人もレストランとして利用できるようになっている。 昼食は病院で食べよう。などと考える観光客もあるのだ。

 エスカレーターで3階に上がると、左側のフロアーには英語、日本語、韓国語、中国語など六カ国の外国人専用の受付があって、それぞれの言語に堪能な、若い女性が笑顔で迎えてくれる。

  私は日本語対応の受付に歩み寄ると、三人の女性が一斉に立ち上がり、こんにちはどうされましたか。と笑顔で聞いてくれた。 こんなに気持ちがなごむ病院とは想像もしなかった。

 海外旅行保険証を渡して、診察に必要な書類を本人が記入するのだが、書類の記入説明はすべて英語で書かれていて、書けるはずもない。 当然お手上げである。

 すると受け付けの女性が、私でよければ書きましょうか。 何と謙虚な配慮であろうか。
ペンを持った彼女が、パスポートナンバーは何番ですか。 どのような症状ですか。氏名、年齢、宿泊ホテルはと矢継ぎ早に聞き取り、即座に記入するのは英語でっせ。

 さすがインターナショナルの私立病院の受付は凄いなあ。 日本語を聞いて英語ですらすら書いてくれるのは、大学出たてのような、まだ若いタイ人女性だ。 そのうえ、笑顔で親切なのだから、もう云うことはない。これなら病気はすぐに完治するはずだ。

 迷子になりそうな院内を案内されて、内科の第六診察室の前まできた。  この診察室は日本人を最優先で診察してくれる。 もちろんタイ人も含めて、色々な国の患者が40人ほども、待って座っているのだが、これら日本人以外の人は正規の順番を待たねばならない。

 もし私が中国語の受付を通って診察を依頼したら、中国人を最優先にしている診察室に案内されたであろう。 

 待合室の椅子に座るやいなや、看護婦さんのもとで働く若い女性が来て、日本語で△△さん身長と体重を計ります。次は血圧です。 と次々にカルテに書き込んでいる。
 この病院は喉が痛くなって咳き込む症状でも、身長と体重を計ることが不可欠らしい。こんな測定結果など必要ないと思うがなあ。 

 1,2分待っていると、診察室のドアを半分開けて、あまり綺麗ではないおばさん看護婦が顔だけ出して、△△さん診察室入ってくださーい。と大声で呼んでくれた。
 大勢の順番待ちのかたに 「すみませんねえ、私は日本人ですねん」 と心で詫びながら診察室へ入っていった。

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旅行保険に加入していても

 律儀に海外旅行保険に加入して、奈良県のM氏と深夜便でバンコクへ着いた。その足でチェンマイまでやって来て、飛行機を乗り換えて、山あいの秘境メーホーソンの町へ行く予定であった。

 メーホーソンは山深いビルマのすぐ近くにあって、周囲に連なる山々に囲まれた小さな盆地の町である。その山にはミャンマーから逃れてきた人たちや、たくさんの少数民族が生活を営んでいる。

 憧れと希望に老いた胸をふくらませ、メーホーソンのチケットを手にして、搭乗券と引きかえるためにチェンマイ空港のカウンターへ歩み寄った。
ドル箱路線なので、大変な混雑を予想していたのだが? 閑散としているではないか。

 ここにいたタイ航空のお嬢さん係員にチケットを示すと、一言 「飛ばない」 エッ 今なんて云ったの。 私たちは今日の航空券を持っているのに何でや。 と詰め寄るが、お嬢さんはにべもなく「飛ばない」。 こんなのありか。

 更に彼女は云う、メーホーソンまでどうしても行きたかったら、無料バスを用意しています。どうしますか。  バスなら何時間かかるの。 5時間くらいでしょうか。
そんなことはない。 前回来たときに調べたら、8時間30分曲がりくねった山道を行かねばならない。と説明されたから飛行機にしたのだ。

 ここはタイである。彼女にいくら抗議をしても、騒いでも飛行機が飛ぶことはない。 M氏には申し訳ないが、こういうアクシデントは、この後どうしようか、と善後策を考えることが、また楽しいのである。

  では明日のフライトはありますか。(明日も飛びません)   ならもうメーホーソンには行かない。欠航の証明をしてください。(欠航証明はします) これでHISに返金手続きをすればよい。
 
 次に、今夕のホテルのキャンセル連絡だ。ここはタイ語の堪能なM氏にお願いして伝えることが出来た。 私一人なら悪戦苦闘なんだが、M氏のおかげで連絡はうまくいった。事後処理を終えて、急な変更ではあるが、バスで遠方のメーサイへ向かったのである。

 数ヶ月後HISから欠航した航空運賃の返金を受けたのだが、同時に失敗も犯していたことに気づいた。それは海外旅行保険の申請である。保険というヤツは説明の文字が極端に小さい。腹立たしいので計ってみたら文字の大きさは1,2ミリでしかなく、故意に読みにくくなっているようだ。

 改めて読んでみると、乗換地において、代替となる他の航空機が利用可能となるまでの間に被保険者が負担したホテル代、食事代国際電話代などの費用、目的地における旅行サービスの取り消しなど3万円を上限にお支払いします。と書かれていたのだ。

 急なアクシデントに遭遇して頭が混乱しているときに、こんな小さな文字でびっしり書かれた文章が、読み取れて理解が出来るはずがない。予約を入れていたメーホーソンのバイヨークシャーレホテルのキャンセル料や、チェンマイに残ってホテルに宿泊したとしても、夕食を食べても補償が受けられたのだ。

 いずれにしても気づくのが遅すぎた。たとえ読みにくかったにしても、明記されていた補償の申請をしなかった私に非がある。何年経っても勉強は続くものだ。

 生命保険でも火災保険でも、今回の海外旅行保険でも説明の文章が、小さくて読みづらい理由がよくわかった。これからは何かあったときには腰を据えて、文章を解読して悔いを残さないようにするぞ。

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海外旅行保険

 これまで保険と名のつく物は、あまり興味がなかったし好きではなかった。現職の頃は××生命のおばちゃんなどが職場にやってきて、タイスキさんこの度、お得な保険が出ました。などとささやかれ、世間知らずの私は彼女の口車に乗って(自分で乗ったのだ)新たな契約を結んできた。

 そして長年掛けてきた保険も、60歳の退職と共に保証は半額に減額され、いつしか更新されないまま消滅してしまった。考えてみれば××生命に長い年月かなりの額奉仕してきたことになる。

 生命保険なんか自分が保険金を手にすることなど絶対にあり得ないのに、なぜ加入していたのだろう。だいたい保険などは、「もしも」の場合に支払われるもので、「もしも」がなければ、それはそれで有り難いと思わねばならないのだが、それでも好きにはなれない。

 そんな保険の中で、海外旅行保険だけは几帳面に加入してきた。これは一人で海外へ旅をしていく自信がないからである。自信が持てない時ほど、「もしも」が多く現れるからだ。「もしも」病気をしたら、「もしも」怪我をしたら、、「もしも」盗難にあったら、等々 これを処理する言葉もお金も持ち合わせていないのだ。

 海外旅行保険に加入していれば、。「もしも」病気や怪我をしても大都市であれば、通訳が病院に常駐し治療も入院もキャッシュレスである。これなら病状の説明も現金の持ち合わせも全く必要がないので、気楽に診察を受けることが出来る。

 またカメラを落として使えなくなっても、飛行機が飛ばなくなっても、お店の調度品を壊しても、保険会社の日本語デスクに電話をすれば、24時間日本語で対応し損害額は全部保険でカバーしてくれるので、旅行中気持ちが楽になる。

 ところが、一昨年から71歳以になると健常者の標準プランには加入できない。あれほど悪評高い健康保険の後期高齢者でも75歳以上なのに、なぜか旅行保険は71歳からと差を付けられるのが腹立たしいかぎりだ。

よく見ると健常標準プランの障害死亡の上限が5千万円、71歳以上も上限が5千万円 だが健常者標準プランの疾病死亡の上限が3千万円、71歳以上は上限が1千万円と激減する。     

   つまりあなたはもう病死をする確率が高くなったので、補償額を低くしましたよ。と云われているのだ。分かっているけど……… 気持ちは滅入っていく。

 これ以外に81歳以上の方、脳疾患のかた、心臓疾患、癌の方は赤信号で、さらに別のプランになるので厳しい。

 我が命の値段が下落するにしたがって、乗った飛行機が大きく揺れるたびに、これで墜落すれば保険は1000万か、しかし生命保険よりかなり良いか。などとだんだん卑屈になっていく。

     

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